いま不動産業界で積極的に広告している不動産売却の方法に、ご自宅を売却しても、そのまま住んでいられるという「リースバック」という方法があります。たくさんの不動産会社やファイナンス会社などが広告していますので、「リースバック」という言葉はお聞きになったことがあると思います。正式には「セール・アンド・リースバック」というもので、所有しているものを売却して、売却した先からリース(賃貸借)するというものです。不動産で使われることが多いですが、他の固定資産や飛行機等でも利用されます。
リースバック方式を利用するメリット
1.売却によってまとまった現金を得ることができます
利用例としては、老後の生活費、子供の教育費、治療費、住宅ローンやそれ以外の借入金の返済、事業資金の調達などが多いのではないでしょうか。
また不動産を相続するより現金化した方が、後々のトラブルを回避するという目的でリースバックを利用する方もいらっしゃいます。
2.今までと同じように使いながら、維持管理の手間が省けます
不動産のリースバックでは、多くの場合不動産会社やファイナンス会社が不動産の所有者(売主)から直接買い取りますので、現金化する時間がかかりませんし、広告を出すこともありません。
仲介に出すと買主を探すことから始めなければなりません。買主が見つかるまでに長い時間かかったり、買主が見つからないというリスクもあるわけですから、これは大きなメリットの一つだと思います。
3.売却した自宅は、新たな所有者(買主)と賃貸借契約を結んで、そのまま住み続けることができます
中には特約を付けて将来買い戻すことができるような契約にすることもあります。
売買をするので、登記上の所有者は変りますが、今までと何も変わらない生活を送ることができるので、周囲に知られることもありませんし、引越をする手間も費用も必要ありません。また住宅ローンや固定資産税、マンションの場合は管理費・修繕積立金、それに建物の火災保険料の支払いもなくなります。
ここまで見ると、リースバックはとても良い方法のように感じますがデメリットもあります。
1.一般的に市場で売却するより安くなる可能性があります
2.家賃が発生します
買主と賃貸借契約を結んで賃借人になるので、賃料の支払いが発生します。
そして、多くの契約は2年ごとに更新料、更新事務手数料、保証会社へ保証料を支払わなければなりません。さらに、賃料を数ヶ月間滞納すると賃貸借契約を解約されます。
3.借りているので、リフォームや建て替えなど自分の思ったように建物に手を加えることができなくなります
その他、トラブルの例としては、新たに賃貸人(買主)と結ぶ賃貸借契約が、定期借家契約になっていて、ずっと住み続けることができない契約になっていたり、売却価格が高かった場合は、賃料も少し相場より高めだったり、賃貸借契約の更新の時に賃料を値上げされたりということもあるようです。
今回は不動産売却方法のひとつとして、リースバックのメリットとデメリットをご紹介しました。リースバックは売却価格が現在の住宅ローンの残債より少なければ、住宅ローンの完済ができなかったり、残債より高くても思い通りの資金が手元に残らないことも考えられます。
リースバックを検討する時には、住宅ローンの残債や現金を得る目的(どのくらいの現金が得られるか)などを明確にして、契約の内容をよく読んで進める、信頼できる会社と取引するなどが重要です。