トウリハウジング通信 2024年8月号

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カテゴリー: トウリハウジング通信

先行入居と先行決済

不動産売買の取引において、通常は、買主が残代金を支払うのと同じ日に、売主から買主へ不動産の所有権が移転して、引渡しを行います。例えば、買い替えで自宅の売却と購入を同時に行う場合、買い替えをするご本人だけでなく、売却する自宅を購入する買主、買い替える物件の売主、さらにそれぞれの契約の仲介をする不動産会社、司法書士など、さまざまな人たちが集まって取引を行いますので、日程の調整がうまくいかないことがあります。

不動産売買の取引では、何か特別な事情がない限り、残代金の支払と同時に所有権が移転されるのですが、売主・買主の合意があれば、残代金の支払日と物件の引渡しを異なる日にすることはできないことではありません。残代金支払い日と物件の引渡しが異なるのは、買主が残代金を支払う前に、売主から物件の引き渡しを受けて、入居すること(先行入居)と、買主が残代金を支払って、売主から買主に所有権移転した後も、売主がしばらく、引渡しをしないで住み続けること(先行決済、引渡し猶予)の2つのケースが考えられます。

上記で書いたように、買い替えで、日程がどうしても調整できなかった場合にも、残代金の支払いと物件の引き渡しを別の日にする可能性はありますが、先行入居をするのは、買主の都合による場合が多いです。

買い替えの場合で言えば、自宅の売却をして残代金を購入する不動産の残代金に充てる場合、通常は残代金を受領する時には、自宅は空室になっていなければなりません。ところが、残代金を受領しなければ、購入する家の代金を支払うことができず、入居もできません。このような場合に、購入する家の代金を支払う前に、入居するのが先行入居です。その他にも、購入する不動産の代金を支払う前に現在住んでいる賃貸住宅の契約期限が到来してしまう場合なども、先行入居をすることが考えられます。中には先行して入居するだけでなく、内装のリフォームまでする(先行内装)場合もあります。 先行入居も先行内装も購入する物件が空き家か、新築の場合は完成済みになっている必要があります。

しかし先行入居にはリスクもあります。融資特約付きの売買契約を結んで、買主が購入物件に先行入居した後に、住宅ローンが不承認になってしまった、などの場合です。

一方、先行決済は、売主が残代金を受け取った後も、売却した物件にしばらく居住することで、こちらは売主の都合による場合が多いです。転居先の引渡しが遅れたり、新築物件の完成が遅れたりした場合などが考えられます。

先行入居にしても、先行決済にしても、通常の売買契約の流れとは異なるため、契約の内容も十分注意する必要があります。

例えば、固定資産税・都市計画税の日割清算は、いつを基準にするのか、マンションだったら、管理費・修繕積立金の負担はいつから始まるのか。そして先行入居の場合には、所有者でない人が入居している状態になりますし、先行決済の場合には、既に所有者でなくなった人が居住する状態になりますので、その間の火災があった場合、地震などで建物に損害を受けた場合、階上からの水漏れで家財が損害を受けた場合の補償はどうなるのか、を考えなければなりません。

賃貸借契約を締結して、家賃を支払って借りている状態であれば、オーナーに対する賠償は借家人賠償責任保険に加入することでカバーすることができますが、先行入居、先行決済の多くは、期間も1週間程度と短期間であることが多いので、対価を支払わない使用貸借であることが多いと思います。それを避けるために、先行入居ではなく、短期貸をする部屋を探す方法もありますが、引越しを短期間で2回しなければなりませんので、経済的、精神的な負担がかかりますし、短期間借りる部屋を探すのも大変です。人はビジネスホテルやウィークリーマンションなどに住んで、荷物は引越業者に預かってもらう方法もありますが、この場合もやはり負担が大きいです。

短期間だから、ということで、安易に考えず、取引全体をしっかり把握して、仲介の不動産会社の担当者などと密に打ち合わせをしながら進めていく必要があると思います。先行入居や先行決済は、売主と買主の合意がなければならないのはもちろんですが、費用負担などを含めて、書面を取り交わして、慎重に対応する必要があります。

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ダンゴムシ。身近な昆虫と思っていたのですが、実は昆虫ではなく、エビやカニの仲間。ダンゴムシを触ろうとするとクルリと体を丸めて防御しますね。ダンゴムシは固い甲冑を作るためにも、時々コンクリートを食べます。落ち葉なども食べるので、ダンゴムシは「自然界のお掃除屋さん」と呼ばれています。

編集後記

東京23区では6年ぶりの「記録的短時間大雨情報」

7月31日(水)夜、東京都北区や板橋区、練馬区と埼玉県川口市などで1時間に100ミリ以上の猛烈な雨が降り、記録的短時間大雨情報が発表されました。こんなに雨が降ったのは、初めて、と思ったら記録的短時間大雨情報が東京23区で発表されるのは6年ぶりということで、そういえば近所の小学校の体育館へ避難したことがあったのを思い出しました。

7月31日、弊社は休みだったので私は自宅にいました。家の中でゴボッ、ゴボッと音がするので、どこから音がするのかと思ったら、トイレの水が逆流している音でした。そして家の外にある雨水桝は、雨水を消化しきれず、やはり逆流していました。翌日、出社すると9時前から「雨漏りがしている」と賃貸の管理をしている部屋の賃借人の方から電話がかかってきました。
すでに3週間ほど経っていますが、まだ被害に遭った物件ではどこから雨漏りしたのか特定できておらず、修繕も終わっていません。ご迷惑をおかけしています。