昨年、要件を満たせば1フロアの面積を今までより大きくできるようになりました。これによって、今までよりも大きな建物が建てられるようになったのでしょうか?
以前、土地に建築できる建物の大きさを決める要素の1つである建蔽率(けんぺいりつ)と容積率(ようせきりつ)についてお話をしましたが、今回はその建蔽率の緩和についてのお話です。
もともと、角地であったり、防火地域内(駅前や商店街等に多い地域)にある土地については、要件を満たせば建蔽率を10%増やせるという緩和措置がありましたが、対象となる土地は限定的である為、利用できる人は限られていました。
しかし、2019年(令和元年)6月に施行された「建築基準法の一部を改正する法律」により、準防火地域内であっても、準耐火建築物およびこれらと同等以上の延焼防止性能を有する建築物であれば建蔽率を10%増やせるようになりました。
これにより、建蔽率の緩和を受けられる建物の幅はかなり広がったと思います。
緩和の背景には、住宅などが密集する準防火地域の建蔽率を緩和することで、延焼防止性能が高い建物への建て替えを促進したいという国の思惑があるようです。
ところで、これにより建物は大きく建てられるようになったのでしょうか?
結論から言うと、状況によって変わります。
例えば、2階建の建物で容積率にも余裕がある場合、1フロアの大きさを10%増やせることにより、延床面積が1階と2階併せて20%増やせるようになります。
ところが、3階建で容積率も余裕が無いとなると、1フロアの面積は増やせたものの3階部分は逆に小さくなってしまうという場合もあります。
また、民法による隣地境界線からの距離や道路斜線制限なども勘案すると、緩和を受けられる地域でも、緩和を利用できないケースが出てくる可能性があります。
ただ、選択肢の1つとして、1フロアの面積を広く使える可能性があることによって、プランニングの幅が広がるかもしれませんね。