トウリハウジング通信 2024年10月号

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カテゴリー: トウリハウジング通信

未成年の不動産相続

2022年4月からの民法改正によって、未成年の年齢は18才未満に引き下げられました。今回は、未成年者が不動産に関わる時の話を致します。

相続に関する法律は、家族や親族の財産をどのように分配するかを定めています。被相続人(亡くなった人)に子どもがいない場合には、直系卑属(被相続人の両親、祖父母など)が相続人になり、子供も直系卑属もいない場合には、兄弟姉妹が相続人になります。高齢化が進んでいる現在では、被相続人と同世代の兄弟姉妹がすでに亡くなって、その子供、被相続人からすると甥や姪が相続人になることも多くなっています。一方、被相続人が若い場合には、相続人である子供が未成年の場合もあります。もし相続人が未成年の場合、法定相続人になることはできるのでしょうか?

結論から言えば、相続人に年齢制限はないため、未成年者でも親の遺産を相続することは可能です。新生児や幼児はもちろん、胎児にも親の相続権があるので、無事に生まれたときは相続人になります。ただし、未成年者は法律行為が限定されるため、相続人になったとしても、遺産分割協議などの法律行為を行うときには、法定代理人の同意がなければ相続の手続きはできません。

法定代理人は、通常親権者である父母がなるのですが、その未成年の相続人が被相続人の子供の場合、親権者は被相続人の配偶者でもあり、両方とも同じ相続人であることが多いです。このように未成年者と親権者兼法定代理人がともに相続人になってしまうと、利益相反(りえきそうはん)が生じてしまうので、法定代理人になれません。その場合は家庭裁判所に特別代理人の選任を申請する必要があります。

利益相反とは、一方の利益が一方の不利益につながる関係のことをいいます。たとえば、父親の遺産を母親と未成年の子供が相続する場合、親権者の母親が子供の法定代理人になると、母親は自分と子供のために遺産分割協議を行うことになるので、母親の取得分を多くすると子供の取得分が減ってしまい、子供の取得分を多くすると逆の結果になってしまうからです。

選任される特別代理人は未成年者の代理人として遺産分割協議に参加するので、未成年者の権利が侵害されることなく、公平な遺産分割が可能になります。特別代理人には資格や職業による制限がなく、未成年者との利害関係がなければ誰でもなれるので、未成年者の叔父や叔母、祖父母が選任される場合や、弁護士や司法書士などの専門家が選任される場合もあります。

また内縁の妻には相続する権利はありませんが、例えば、内縁の妻との間に未成年の子供が2人いた場合、母親は2人の子供の法定代理人にはなれません。それは2人の子供の間に利益相反関係があるからです。この場合、母親はどちらか1人の法定代理人になり、もう1人の子供には特別代理人を選任することになります。因みに、未成年であっても婚姻している人は成人とみなされるため、法律行為に法定代理人の同意は必要ありません。

■未成年者が成人した後に遺産分割する場合

未成年者の年齢が18才に近い場合に、成人してから遺産分割協議をすれば代理人が必要なくなり、本人の意思が直接反映されるので、成人するまで待ってからでも良いのではないか、とも考えられます。相続財産が現金や預貯金であれば相続手続きに期限がないので、未成年の相続人が成人するのを待って遺産分割をすることに問題ないとしても、相続税が発生する場合は別です。相続開始日の翌日から10か月以内に相続税の申告が必要だからです。

もし、申告の期限を過ぎてしまうと延滞税等のペナルティが発生するうえ、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使えなくなってしまうので、通常の期限内で申告するより収める相続税が高くなってしまいます。未成年の相続人が成人するまで遺産分割協議を遅らせることは、税制面でのデメリットがあることに注意する必要があります。

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編集後記

東武伊勢崎線「西新井」駅徒歩圏、ショッピングモールアリオ西新井の近くで、弊社が購入した土地があります。これから建物を建築、そして販売する予定です。以前建っていた建物は、助成金を受けられるので、売主様に解体していただきました。そして、更地になったのが6月下旬。その後、測量や境界の立ち会いなどをして、弊社に所有権が移転したのが8月下旬でした。更地になってから所有権移転までの期間に雑草が生えて、所有権移転後、現地を見に行ったときには、腰のあたりまで伸びた雑草が一面に生えていました。
そういえば、去年のこの時期は、日暮里舎人ライナー「扇大橋」駅近くの小さな庭がある戸建を販売していました。小さいとはいえ、毎週、庭の雑草を取りに行っても終わらず、汗びっしょりかいて帰ってきたのを思い出しました。年々、暑くなっているように感じる夏の土地・戸建の販売の時には、雑草取りをすることを考えると、熱中症にならないよう、更地にする時期も考えなければならないと思いました。