トウリハウジング通信 2024年7月号

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カテゴリー: トウリハウジング通信

抵当権

今回は不動産取引で良く出てくる重要な要素、抵当権に関する話題です。金融機関から住宅ローンを借りて住宅を購入するとその金融機関は、住宅ローンを貸す(融資の実行)のと同時に融資の対象になる住宅に抵当権を設定(登記)します。

抵当権とは、金融機関が融資の保証として不動産に担保権を設定することです。住宅ローンに限らず、金融機関は不動産購入に係る融資をする際には、不動産を担保にして抵当権を設定するケースが多いです。

繰り返しになりますが、抵当権は金融機関が融資をする時に住宅や土地などの不動産を担保にする権利なので、もし借りた人や会社が借入金の返済ができなかった時には、金融機関はその権利(抵当権)を実行して、その不動産を競売にかけることができます。そして競売で落札されて買受人が決まり、代金が納付されたら、その代金は、抵当権の順位によって配当されます。つまり、一番先に抵当権を設定した金融機関が債権額を受け取ります。それでもまだ、代金が残っている場合は、二番目に抵当権を設定した抵当権者が受け取ります。そして、すべての抵当権者が受け取って、それでも代金が残った場合は、その他の一般債権者が受け取り、それでも残った場合には物件の所有者(通常はお金を借りた人)が受け取ります。このように抵当権を設定すると他の債権者に優先して弁済を受けることができるので、金融機関は融資の実行と同時に抵当権を設定するのです。

ちなみに、抵当権の実行ができるのは住宅ローンを貸している金融機関なのですが、抵当権を設定登記するのは、住宅ローンを借りる債務者なので、設定費用は債務者が負担します。

先に借入金の返済が滞った時のことを書きましたが、今度は借入金の返済が順調に進んで、登記された抵当権の内容がなくなった時、つまり借入金を完済したら抵当権の抹消手続きをします。時々、借入金の返済が終わっているにも関わらず、抵当権が設定されたままになっている謄本を見かけることがありますが、住宅ローンを完済したとき、金融機関から抵当権の抹消に必要な書類が送られてきます。抵当権は「住宅ローンを完済すれば自動的になくなる」のではなく、抵当権抹消登記を行うことで登記上からも設定が解除されます。抵当権の登記抹消に必要な書類を金融機関から受け取ったら、抵当権抹消手続きを早めに済ませておくのが良いです。

抵当権抹消登記には、いつまでにやらなければならないという期限がないので、そのままにしている方や金融機関から送られてきた書類をご覧になっていない方もいらっしゃるかもしれませんが、抵当権が設定されたままにしておくと、不動産を売却したいとき、新たに融資を受けたいとき、不動産を相続するときなど、いざという時に手続きが間に合わなかったり、費用が余分にかかったりする場合があります。所有している不動産の抵当権が抹消できるようになったときは、忘れないうち、できる限り早く、抹消登記の手続きをしておくことをお勧めします。

ところで、抵当権の一種に根抵当権(ねていとうけん)があります。根抵当権とは、あらかじめ上限(極度額)を決めて、その範囲内で金融機関と借り入れや返済を何度も繰り返し行うことができる権利のことです。そのため、事業資金として必要な時に繰り返し融資を受ける必要がある法人などが活用することが多いです。住宅ローンを借りたときには繰り返し借りることがないので、根抵当権が設定されることはほとんどありません。また根抵当権は、抵当権と異なり、繰り返し借りることができるので、1度完済しただけでは抹消することはできません。抹消するためには、金融機関の同意が必要です。

抵当権が設定されている、つまり住宅ローンの返済中の住宅を売却したい時は、抵当権を抹消できれば可能です。住宅ローンの残債を一括返済する必要がありますので、考えられるのは、手元の現金で返済する、不動産を売却した代金で返済する、もし売却金額より残債の方が大きい場合には、足りない金額は自己資金を足して返済するなどです。もし売却をお考えの場合は、あらかじめご自宅が、どれくらいで売却できそうかを調べておくとスムーズに売却できると思います。

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編集後記

根抵当権は、その設定金額の範囲内であれば何度でも借り入れと返済を繰り返すことができます。そのため住宅ローンには、根抵当権を設定することはほとんどありませんが、住宅に関して言えば「リバースモーゲージ」を契約した場合には根抵当権の設定がされることが多いです。

リバースモーゲージというのは、自宅(持ち家)に住みながら、自宅を担保に融資を受ける資金調達方法で、シニア世代に利用されることが多いです。住宅に根抵当権が設定されているので、設定額の範囲内で何度でも借り入れと返済を繰り返すことができます。

ところで、リバースモーゲージと比較される資金調達方法にリースバックという方法があります。こちらは自宅を売却して、売却した家を買った人や会社と賃貸借契約を結んで、住み続ける方法です。どちらも住宅を使って資金調達する方法ですが、それぞれのメリット、デメリットを十分理解してから進めることをお勧めします。