所有権を戻す

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カテゴリー: 不動産売却  タグ:  | | | |

弊社は、不動産売買の業務が多いのですが、取引をして下さったお客様やその身内の方から、取引した物件以外の不動産に関するご相談を受けることもかなりあります。

相談

お客様にとって、不動産は身近にあるものですが、不動産に関する問題は接することが少ないうえに、法律なども複雑で分かりにくいです。

私たちもご相談を承って、すぐにお返事できるものもありますが、中には司法書士・税理士、そして弁護士の先生方にお聞きしながらお返事することもあります。誰に聞いたら良いかということが分かっていること、そして相談できる専門家の先生が身近にいることも私たちの強みと考えています。

今回は、以前相談を受けた難問のひとつをご紹介します。

話は戦後間もない昭和20年代前半頃から始まります。

今回のご相談者Aさんは、叔父のBさん夫婦とBさんの子供(甥)のCさんの4人で暮らしていました。建物はBさんの所有ですが、土地は借地です。

ある時、土地の所有者(以下「地主さん」)が亡くなり、地主さんの相続人は相続税を支払うために、土地を貸している賃借人(借地人)のところへ行って「底地買取りませんか」と回っていました。(底地というのは、借地人がいる土地の部分です)

当然、Bさんもその地主さんの借地人なので、Bさんの家にもやってきました。ところがその時、Bさんは底地(借りている土地)を買い取る資金が用意できませんでした。

そこでAさんは「せっかく地主さんが土地を売ってくれるのだから」と資金をかき集めて、Bさんに代わって底地を買うことにしました。

地主さんから土地を買ったAさんは、土地の所有権移転登記をするときに「叔父さんにはいつもお世話になっているから、名義は(叔父さんの子供の)Cちゃんにしておいて」と甥のCさんの名義にしてしまったのです。

権利証

Aさんが言うには「このころは土地の価値が低かったし、別に土地の名義なんて誰でも良いという軽い気持ちで、Cさんの名義にした」のだそうです。

そしてその後、Aさんは結婚してCさん名義になった土地の一部に建物を新築して住むことになりました。新婚生活を始めました。(建物が2棟建てられるほどの広い土地だったということです)

そして、数十年が経った現在、叔父のBさんは既に亡くなっていて、先日甥のCさんも亡くなってしまいました。まだ相続登記はしていませんが、この状態ですとCさんの土地の法定相続人は、Cさんの奥様と子供になります。

Aさんは「このままでは、自分とCさんの子孫にこの不自然な状態を引き継がなければならない。何とか自分が生きているうちに正常な状態に戻したい」と思うようになりました。

そして「Cさんの家族もAさんが資金を出したのであれば、所有権をAさんの名義に戻すことに異存はない」そうです。

ところが、Aさんがいろいろ調べたり、聞いたりしてみると、土地の名義をCさんからAさんに移すときに、資金を動かさないで移転してしまうと、贈与になってAさんに贈与税がかかってしまうことが分かりました。

Aさんとしては「もともと自分が資金を出して買った土地なので、売買ではない方法で所有権を移転させたい」と考え、その後もいろいろ調べた結果「時効取得は使えないだろうか?」と思いついて、この方法が使えるか、私たちの会社へ相談にいらっしゃったのです。

<つづく>